酒も煙草も女もいいからゲームをやらせろ

配信でプレイしたゲームの感想をつらつらと述べたい。

サイコブレイク(PS4)

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1.概要

  [サイコブレイク]をご存知だろうか。それは、[The Elder Scrolls Ⅴ: Skyrim]で有名な[ベセスダ・ソフトワークス]の元で、あの[バイオハザード]の生みの親たる[三上真司]氏が手掛けたと宣伝された。それは、サバイバルホラーへの原点回帰を謳い、世界中のホラーフリークを熱狂させる……筈だった。

 残念ながら、[サイコブレイク]は発売後、数多の人にとって期待外れとなった。販売価格は見る見るうちに下がり、レビューで酷評を受けることも珍しくなかった。当時並べ立てられた様々な不満は、発売から数年経った今でも、人を換えて口にされる。

 [サイコブレイク]は、果たして本当に駄作か。本稿では、実際にプレイした筆者が、その悪評の妥当性について述べる。世間で悪く言われるゲームでも、ある種の人間にとっては珠玉の作品足り得ることもある。[サイコブレイク]も、その可能性を十分に秘めている。

 

2.感想

 本作について、主に挙げられる不満点を5つピックアップする。それらは具体的に「カメラワークが悪い」、「他のゲームに類似している」、「ホラーではない」、「難易度が理不尽だ」、「ストーリーが解りづらい」だ。これらのについて、筆者の判断を述べることを、感想とする。

 

(Ⅰ)カメラワークが悪い

 これはだ。本作はThird Person shooter、俗に言うTPSなのだが、カメラと主人公の位置が妙に近く、動けばかなり視界を揺さぶられる。コンフィグでも変更できず、慣れるしかない。

 また、発売時当初はレターボックスとして画面上下に黒枠が付けられていた。視界が狭められ大不評であったが、こちらは無効化できるアップデートが施された為、現在では全く問題ない。

 

(Ⅱ)他のゲームに類似している

 これは」だ。世間の批評を聞くに、本作は[サイレントヒル]、[The Last of Us]にて既出の演出が散見されるらしいが、残念ながら筆者はそれらをプレイしていない為、判断が付かない。だが、そこを差し置いても、本作はとあるゲームに酷似している。そう、他でもない三上氏の一作、[バイオハザード4]だ。

 具体例を述べよう。物語序盤はチェーンソーを振り回す大男に襲われ、その後、常人の3倍は大きい巨人とも戦う。頭から触手を伸ばす寄生体も登場し、水辺を泳ぐ際に水生動物に捕食されかける。その間何度も、閉鎖された広間や庭のような場所で、多数の敵を迎え撃つ展開がある。

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 これらに目を瞑ろう。さて、ラストシーン。敵役と死闘を繰り広げる最中、主人公に突如ある物が手渡される。ご期待に添えますよと言わんばかりのそれはそう、ロケットランチャー……。

 汚い言葉遣いで申し訳ないが、言わせてくれ。ふざけてるのか。バイオハザード4-2としては秀逸かもしれない。

(Ⅲ)ホラーではない

 これは」だ。序盤こそ、おどろおどろしいオブジェクトや狂人達がなんとも怖い雰囲気を演出してくれるが、そういったものは終盤に近付くにつれ徐々に姿を消す。代わりに、ガトリングガンの備わった戦車で異形達を蹴散らすシーンなどが拝める。

 明らかに、ホラーであることを途中で放棄した。先に述べたロケットランチャーのセルフオマージュも、その象徴に感じる。

 

(Ⅳ)難易度が理不尽だ

 これは「」だ。これまで不満点に同調した筆者だが、ゲーム性に関しては本作を否定しない。寧ろ、本作の魅力はここにあると捉える。

 そもそも本作は他のアクションゲームに同じく、諸々の動きや配置がパターン化されている為、試行錯誤を重ねればクリアできるデザインがなされている。難易度は少々高いが、それを突破する工夫には十分にゲーム的な楽しみがある。即死ギミックが多いとされるが、嫌気がさすほどでもなく、[ロックマン]に登場する穴や針レベルに収まっている。弾薬や回復アイテムの補充はシビアだが、だからこそ、その管理にやりがいを感じる。

 総じて、理不尽と言える程の難易度はなく、寧ろハードアクションとしてプレイヤーに達成感を与えるものだろう。[DARK SOULS]シリーズと同一の方向性だ。

 

(Ⅴ)ストーリーが解りづらい

 これは「」だ。いや、確かに解りづらい。だが、これはかなり主観的意見であることを自覚して述べるが、そもそもこの手のゲームに明確なストーリーは必要だろうか? ホラーとしても(放棄しているが)、ハードアクションとしても、不明瞭なストーリーはそれも一つの演出ではなかろうか。

  加えて、主人公の置かれている状況、主人公の過去、敵の素性といった骨組みの部分は、大雑把とは言え一応説明される為、筆者としては特段問題を感じなかった。

 

3.まとめ

 世間で賛否両論の問題作は、蓋を開ければ[バイオハザード4]だった。[バイオハザード4]はシリーズ中でも最高傑作と名高いだけに、因果なものだ。やはり、サバイバルホラーへの原点回帰を謳っておきながら、9年前の自作品に縋るような作りはまずかったか。

 ホラーとしては期待せず、専らハードアクションとして見れば、なかなか楽しめるのではなかろうか。実際、手強かった敵との激闘の情景が、筆者にとって何よりの思い出だ。といっても、元よりそのジャンルにある本格派を差し置いて、本作をプレイすべきかは怪しいが……。