酒も煙草も女もいいからゲームをやらせろ

配信でプレイしたゲームの感想をつらつらと述べたい。

JUDGE EYES:死神の遺言(PS4)

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1.概要及び背景

 2000年代前半といえば、まだまだインターネットの普及率も低く、TV番組の話題が今よりうんと多かった時代だ。当時学生だった筆者は、「昨日〇〇観た?」と前日のTV番組の内容について友人と談笑したものだが、この手の会話で決まって話題になる、あるアイドル達がいた。恐らく筆者の周囲のみならず日本全国でそうであった彼等こそ、皆が知るあの[SMAP]と呼ばれた存在だ。[SMAP]は正に「国民的アイドル」に相応しい人気を誇っており、当時の日本を席巻していた。

 その活躍ぶりをあげれば、枚挙に暇がない。シングルは軒並み大ヒットを記録し、5人揃って料理やバラエティコントを披露することもあった。[中居正広]は音楽番組にて司会をこなし、[草彅剛]はTVドラマにて様々な役に挑戦し、[香取慎吾]は子供向けバラエティにて人気キャラクターに扮したりと、その仕事熱心な様は多くの人々を魅了した。

 中でも多大な影響を与えたのは、二枚目担当として数々の大ヒットドラマの主演を務めた[木村拓哉]だろう。[HERO]、[GOOD LUCK!!]はいずれも最高視聴率が36%を超えており、筆者の世代において高い認知度を誇る。[キムタク]のドラマと言えば、一つの時代の象徴だ。

 さて、そんな[キムタク]のドラマが2018年の年末にて突如、ゲームとして現れた。それが本作、[JUDGE EYES]だ。制作はあの[龍が如くスタジオ]。

 現在[SMAP]は残念ながら解散してしまったが、それでも我々の記憶には深く存在が刻まれている。筆者は特段[キムタク]のファンという訳でもないが、あのクールな「国民的アイドル」と、ヤクザゲームメーカーとの邂逅には極めて興味を惹かれるものがあった。[キムタク]を操作して歌舞伎町の事件を解決していく。プレイを拒む理由があろうか。

 

2.良い感想

 あの[キムタク]を操作できるという触れ込みに、偽りは一切なかった。[セガゲームス]渾身の3Dモデルに本人の熱演が加わり、画面には正に本物の[木村拓哉]が存在する。ファンにとっては、それだけで垂涎ものだろう。彼を操作して敵を打ち倒していくアクションゲームは、間違いなくこの世に本作のみだ。

 [木村拓哉]に目を奪われがちだが、脇役の豪華さも凄まじい。[中尾彬]、[ピエール瀧]、[滝藤賢一]等、いずれも芸能に疎い筆者でも馴染みのある大物俳優達だ。彼らの高い技量のせいで、[キムタク]が悪い意味で目立っているように見えるのは、きっと気のせいだろう。

 本作の脚本は「0」を担当した[古田剛志]氏であり、なるほど「0」同様によく練られていてサスペンスに相応しい仕上がりとなっている。詳細は伏せるが、物語序盤に提示される謎や張られる伏線は終盤にきっちりと解決され、プロのストーリーテラーの力量を堪能することが出来る。

 まとめるならば、アクションゲームを進めながら質の高いドラマを鑑賞できるといったところか。とにかくストーリーが面白いので、先が気になることだろう。

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事件の聞き込みに精を出す拓哉

 

3.悪い感想

 本作の主人公、[木村拓哉]演じる「八神隆之」は、元弁護士の現探偵という肩書きだ。ジャンルにもリーガルとある為、遂に[龍が如くスタジオ]もヤクザから離れたかと感心したのも束の間、「八神隆之」の育ての親はヤクザの親分であり、本作でも連中の権力争いが十分に描かれた。如くらしいといえばそうだが、結局それかというのが正直な感想だ。

 [龍が如く]といえばミニゲームだ。本作にも新たにドローンレースやすごろく等が追加されたが、どうにも「0」と比べて華やかさに欠くように感じた。[木村拓哉]というブランドが、却って描写を制限してしまっているのではと勘ぐってしまう。代わりにと言わんばかりに[ぷよぷよ]や[バーチャファイター5]が内蔵されているが、それらがやりたければ別途で買ってくるまでなので、残念ながら必要性は薄い。

 「八神隆之」のアクションパートは探偵らしく、敵を打ち倒す他に「尾行」や「キーピック」、「盗撮」等も行う。いずれも質の悪いミニゲームのようであり、あまり面白さに寄与する要素とは思えない。取って付けたような出来だ。

 

4.まとめ

  [木村拓哉]主演。ゲーム性はお世辞にも高いと言い難いのだが、良質な脚本による[キムタク]の熱演を拝めれば、それだけでなんだか満足出来てしまうのがずるい。

 正直これゲームというよりドラマだよね?と思わないこともないが、本を読んでいるのとそう変わらないテキストアドベンチャーというジャンルを鑑みれば、似たようなものなのかもしれない。

 [SMAP]、特に[木村拓哉]に思い入れがある方に是非おすすめしたい作品だ。彼らしさが損なわれていないことは、私が保証しよう。筆者の総プレイ時間は30時間程。ちょっと長い[キムタク]のドラマ、久しぶりにどうですか?

 

グランブルーファンタジー(Mobage)

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1.概要及び背景

 今日のゲーム業界におけるソーシャルゲーム<以下、ソシャゲと称する>は、もはや新興分野にあらず、すっかり一種のジャンルとして定着したかに思える。ソシャゲの歴史について筆者は特段明るくないが、思えば2012年頃には既に、[横浜ベイスターズ]は[DeNA]に譲渡され、周囲の人間がこぞって[パズル&ドラゴンズ]をプレイする社会があった。それから6年を経た現在も、勢いが衰える様子は見られない。

 と言っても、その歩みは山あり谷ありだ。ソシャゲの発展は同時に、コンプガチャや子供の高額課金、景品表示法の有利誤認といった数々の社会問題も引き起こした。

 さて、今回本稿で取り扱うのは、そんなソシャゲの中で一勢力を築く[グランブルーファンタジー]だ。「スマホRPGは今これをやってるよ。」のtweetでいやが上にも目立つ本作は、2016年に有利誤認と思しき「アンチラ問題」を引き起こした。にも関わらず、今年で継続4周年を迎え、大々的にTVCMが流される程の人気作に成長している。

 筆者はソシャゲの経験に乏しいが、本作に関しては、現在延べ一年半に及んでプレイ中であり、なかなかに事情通だ。それ故、本作ならではの個性的な特徴をいくつか把握している。そこで今回は、それらを紹介したく筆を執った次第だ。是非、本作の奇妙で奇怪な仕様に戦慄して頂きたい。

 

2.感想

  本作はソシャゲに区分される筈だが、どうも一般的なそれと比べて常識外れな仕様がいくつかある。それらをポイントでまとめて述べることを感想としたい。

 

(Ⅰ)スタミナ回復アイテムにより永久プレイ可能

  ソシャゲの特徴といえば、やはりスタミナ。スタミナとは体力……ではなく、言わば行動可能回数のようなものだ。ソシャゲではダンジョンに潜る、ボスに挑戦するといった行動は、原則全てスタミナの消費を伴う。スタミナは現実時間の数分毎に少しづつ蓄えられ、プレイヤーはその貯蓄内にて取るべき行動を取捨選択する。

 本作にも勿論スタミナの概念は存在する。5分毎に1ずつ蓄えられる仕様だ。

 ところで、本作にはエリクシールハーフ、通称「半汁」と呼ばれるアイテムが存在する。これは所謂スタミナ回復アイテムであり、一つにつき約50程のスタミナに変換される。本作はなんと、これを様々な場所で簡単に取得でき、スタミナの自然貯蓄など考慮に値しないバランスとなっている。

 「運営からのプレゼントです。」と称して、突如数百個配布されることはざらだ。毎日ゲーム内ショップで最低5以上は補充可能で、イベントでは安価で交換先に並べられ消費したスタミナのペイに貢献する。

 極めつけはサブアカウントとのマルチプレイだ。詳細は割愛するが、サブアカウントに配布される「半汁」をメインアカウントに間接的に送ることも出来る(1時間で約40個ほど)。規約では、個人による複数アカウントの管理は禁止されているものの、家族ですと主張すれば運営にその真偽を確かめる術はない。

 これらを駆使すれば、本作はスタミナ制でありながら永久プレイが可能だ。スタミナは時間をかけて稼ぐもの。それが[グラブル]スタイル。

 

(Ⅱ)最強の無課金キャラが多くの課金キャラの居場所を奪う

  ソシャゲと言えばガチャだ。本作も例に漏れず、プレイアブルキャラクターは主にガチャで取得する。

 筆者にはソシャゲ運営における収益の仕組みなどわからないが、それでもガチャがかなりのウェイトを占めることは見て取れる。運営は定期的に射幸心を煽るキャラクターを実装し、プレイヤーをガチャへと導く。それ故往々にして、ガチャの目玉がゲームの中心になりがちだ。

 では、本作ではどうか。編成の中心となるのは、強力なガチャキャラクター……ではない。無課金で取得できる「十天衆」達だ。

 「十天衆」はその名の通り十人存在しており、本作にはこれらより強力なキャラクターなどほぼ居ない。強いと評されるガチャキャラクターも、専ら「十天衆」の補佐を努めるケースが多い。では、本作におけるガチャは意味をなさないのか。答えはNoだ。何故なら、この「十天衆」の獲得こそが、本作の大きな目標と化しているからだ。

 「十天衆」の獲得には大変手間がかかる。戦力をそれなりのレベルにまで整え、ギルド戦<後述する>に勝ち抜き、素材集めに奔走する。筆者が本作を一年半プレイ中であることは先に述べたが、それでも取得率は(7/10)だ。多くのガチャキャラクター達は、それまでの"つなぎ"としてその役割を果たす。いざ「十天衆」が加入してしまうと、彼らの居場所は……。

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「十天衆」の面々。実はこの中にも格差がある。

 

(Ⅲ)一週間いかにゲームに張り付いたかを競うギルド戦

  先にも少し触れたが、本作におけるギルド戦は最強キャラクター群「十天衆」の獲得条件にもなっており、かなり重要だ。ではこのギルド戦、「決戦! 星の古戦場」について述べよう。

 プレイヤーは予告されたイベント期間(一週間程)に、大して強くもないボスとひたすら連戦する。勝つ毎に「貢献度」なるポイントがギルドに加算され、ギルドメンバー全員分におけるその合計値の多寡を、対戦相手と競い合う。期間中、相手は日毎に更新され、勝てば「勲章」なるポイントが授与される。これが賞品の引き換えとなっており、「十天衆」の獲得素材となる。

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 ここで着目してほしいのは、要はボスの討伐数がそのまま勝敗に直結する点だ。強力な編成はボスの討伐時間こそ短縮すれど、直接勝利条件とはならない。期間中にどれだけ[グラブル]に時間を割けたか。これが何より重要となる。

 勿論、ギルドメンバー全員が「古戦場」に真摯に向き合うことも条件だ。文字通り「貢献度」の低いメンバーは、寄生と見なされ糾弾されることもある。だが、そのやり取りはコミュニティの不和を招きかねない。

  恐ろしいのは、本作の人気だ。皆「勲章」を諦める訳にはいかず、それなりのレベル帯にもなれば、えげつない数値を突きつけてくる。古戦場は朝7時から開始される為、ギルドの本気度によっては、平日の朝に[グラブル]を強要されることもある。正気の沙汰ではない。この「古戦場」絡みが、多くの[グラブル]引退者にとってその原因に該当したと、筆者は睨んでいる。

 最近申し訳程度に、報酬はそのままに、実質期間が一日短縮された。が、もっと抜本的な改善を、筆者は強く望む。

 

3.まとめ

 さて、本作の一風変わった点を3つ紹介したが、お気づきだろうか。そう、本作はソシャゲでありながら求められるのは課金ではなく、時間であると。割愛したが、本作はRPGらしくレベリングや武器収集といった要素もたっぷりと詰め込まれており、そこでも、とにかくやり込みが必要となる。

 筆者が本作のゲーム性を理解した際に、真っ先に思い浮かんだゲームがあった。それは、[魔界戦記ディスガイア]シリーズだ。

 時間は有限である。目標とするのは最強の編成であり、そこに効率的に近づくにはどう時間を割くべきか。そのやりくりにこそ、この[グランブルーファンタジー]の面白さがあると、筆者は認識している。

 ソシャゲの拝金主義に嫌気が差した方、一つこの"ソシャゲ風RPG"[グラブル]をやり込んで、課金勢をあっと言わせてみてはどうか。

(と言っても、時間を費やしている事が前提となってくると、やはり課金額が物を言い出すのだが……。)

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて(PS4)

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ゲームショップにて

「あ、小松お姉ちゃん」

「幸村君じゃない。どうしたの? こんな所で」

「お母さんが好きなゲームソフトを一つ買っていいって」

「なるほどお祝いか。それで、もう何を買うか決めた?」

「まだ」

「なら、【ドラクエXI】はどう? 買わなくても、私が貸してあげるよ」

「【ドラクエ】ってあの? 3DSのやつをやったことあるけど、あれ古臭いよね」

「……古臭いって言ったか? そっか、きっと幸村君は楽しみ方をよく理解してなかったんだね。そうだ! 貸してあげるついでに、私が【ドラクエ】の事をじっくり教えてあげよう。いいよね?」

「え? あ、いや。うん……」

 

***

 

「【ドラクエ】は国民的RPGで、幸村君のお母さんが子供の頃から今日まで、日本全国でずっと親しまれてるんだよ」

「日本? 海外は?」

「外国のことはいいから。それで、今日本にあるRPGの殆どが、【ドラクエ】を参考に作られたんだよ。あのFFもそう」

ファイナルファンタジー? あれ凄いよね、作品毎で全然違うゲームでさ。【ドラクエ】は?」

「【ドラクエ】は伝統を守るから、あんまりガラッと変わったりしないね」

「そっか。でもそれじゃファイナルファンタジーと比べてワンパターンで飽き――」

「【ドラクエ】は伝統を守るから。わかれよ」

 「ごめんなさい……」

「【XI】も基本に忠実に出来てるから、【ドラクエ】初心者の幸村君でも安心だね」

 

***

 

 「【XI】のシステムは全体的にVIIIに近いね。と言ってもわからないか」

 「僕が3DSでやったのは多分VIIIだよ。仲間がずっと4人から増えなくてさ」

「【XI】は賑やかだよ。パッケージに載ってる7人に加えて、中盤では意外な人物も加入するんだ」

 「へえ」

「途中でベロニカが死んじゃうんだけど、スキルはセーニャが引き継ぐから大丈夫だよ」

「……え?」

 「それで魔王を一回倒すんだけどね、やっぱり仲間が一人欠けたままってのもあれだからタイムスリップして――」

「え? いやいやいや、何言ってるの? それ言っちゃ駄目なやつだよね?」

 「私はネタバレとか気にしないから」

「僕は気にするんだよ! お姉ちゃんおかしいよ……」

 

***

 

 「【XI】はカジノが楽しくて、特に『マジスロ』は本物のスロット顔負けの出来だよ。ほらこれ」

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「スロットって何?」

「街中に大きくて騒々しいお店がよくあるでしょ? そこで遊べるゲームだよ」

「あそこは子供は入っちゃ駄目だってお母さんに言われたよ」

「でしょうね」

「【ドラクエ】だといいの?」

「いいんじゃない」

「……それっておかしくない? 【ドラクエ】は国民的RPGなんでしょ? みんなが楽しめるように作られてる筈なのに、なんで子供がやっちゃ駄目なゲームが置いてあってしかもやってよくて――」

「うるせえな。『マジスロ』は楽しいんだよ」

「はい」

 

***

 

「もう【ドラクエ】の楽しみ方は十分わかった?」

「はい」

「じゃあ、これから暫くゲームは【ドラクエXI】だけでいいね」

「いいえ」

「なんだって?」

 

「――逃げやがった」

サイコブレイク(PS4)

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1.概要

  [サイコブレイク]をご存知だろうか。それは、[The Elder Scrolls Ⅴ: Skyrim]で有名な[ベセスダ・ソフトワークス]の元で、あの[バイオハザード]の生みの親たる[三上真司]氏が手掛けたと宣伝された。それは、サバイバルホラーへの原点回帰を謳い、世界中のホラーフリークを熱狂させる……筈だった。

 残念ながら、[サイコブレイク]は発売後、数多の人にとって期待外れとなった。販売価格は見る見るうちに下がり、レビューで酷評を受けることも珍しくなかった。当時並べ立てられた様々な不満は、発売から数年経った今でも、人を換えて口にされる。

 [サイコブレイク]は、果たして本当に駄作か。本稿では、実際にプレイした筆者が、その悪評の妥当性について述べる。世間で悪く言われるゲームでも、ある種の人間にとっては珠玉の作品足り得ることもある。[サイコブレイク]も、その可能性を十分に秘めている。

 

2.感想

 本作について、主に挙げられる不満点を5つピックアップする。それらは具体的に「カメラワークが悪い」、「他のゲームに類似している」、「ホラーではない」、「難易度が理不尽だ」、「ストーリーが解りづらい」だ。これらのについて、筆者の判断を述べることを、感想とする。

 

(Ⅰ)カメラワークが悪い

 これはだ。本作はThird Person shooter、俗に言うTPSなのだが、カメラと主人公の位置が妙に近く、動けばかなり視界を揺さぶられる。コンフィグでも変更できず、慣れるしかない。

 また、発売時当初はレターボックスとして画面上下に黒枠が付けられていた。視界が狭められ大不評であったが、こちらは無効化できるアップデートが施された為、現在では全く問題ない。

 

(Ⅱ)他のゲームに類似している

 これは」だ。世間の批評を聞くに、本作は[サイレントヒル]、[The Last of Us]にて既出の演出が散見されるらしいが、残念ながら筆者はそれらをプレイしていない為、判断が付かない。だが、そこを差し置いても、本作はとあるゲームに酷似している。そう、他でもない三上氏の一作、[バイオハザード4]だ。

 具体例を述べよう。物語序盤はチェーンソーを振り回す大男に襲われ、その後、常人の3倍は大きい巨人とも戦う。頭から触手を伸ばす寄生体も登場し、水辺を泳ぐ際に水生動物に捕食されかける。その間何度も、閉鎖された広間や庭のような場所で、多数の敵を迎え撃つ展開がある。

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 これらに目を瞑ろう。さて、ラストシーン。敵役と死闘を繰り広げる最中、主人公に突如ある物が手渡される。ご期待に添えますよと言わんばかりのそれはそう、ロケットランチャー……。

 汚い言葉遣いで申し訳ないが、言わせてくれ。ふざけてるのか。バイオハザード4-2としては秀逸かもしれない。

(Ⅲ)ホラーではない

 これは」だ。序盤こそ、おどろおどろしいオブジェクトや狂人達がなんとも怖い雰囲気を演出してくれるが、そういったものは終盤に近付くにつれ徐々に姿を消す。代わりに、ガトリングガンの備わった戦車で異形達を蹴散らすシーンなどが拝める。

 明らかに、ホラーであることを途中で放棄した。先に述べたロケットランチャーのセルフオマージュも、その象徴に感じる。

 

(Ⅳ)難易度が理不尽だ

 これは「」だ。これまで不満点に同調した筆者だが、ゲーム性に関しては本作を否定しない。寧ろ、本作の魅力はここにあると捉える。

 そもそも本作は他のアクションゲームに同じく、諸々の動きや配置がパターン化されている為、試行錯誤を重ねればクリアできるデザインがなされている。難易度は少々高いが、それを突破する工夫には十分にゲーム的な楽しみがある。即死ギミックが多いとされるが、嫌気がさすほどでもなく、[ロックマン]に登場する穴や針レベルに収まっている。弾薬や回復アイテムの補充はシビアだが、だからこそ、その管理にやりがいを感じる。

 総じて、理不尽と言える程の難易度はなく、寧ろハードアクションとしてプレイヤーに達成感を与えるものだろう。[DARK SOULS]シリーズと同一の方向性だ。

 

(Ⅴ)ストーリーが解りづらい

 これは「」だ。いや、確かに解りづらい。だが、これはかなり主観的意見であることを自覚して述べるが、そもそもこの手のゲームに明確なストーリーは必要だろうか? ホラーとしても(放棄しているが)、ハードアクションとしても、不明瞭なストーリーはそれも一つの演出ではなかろうか。

  加えて、主人公の置かれている状況、主人公の過去、敵の素性といった骨組みの部分は、大雑把とは言え一応説明される為、筆者としては特段問題を感じなかった。

 

3.まとめ

 世間で賛否両論の問題作は、蓋を開ければ[バイオハザード4]だった。[バイオハザード4]はシリーズ中でも最高傑作と名高いだけに、因果なものだ。やはり、サバイバルホラーへの原点回帰を謳っておきながら、9年前の自作品に縋るような作りはまずかったか。

 ホラーとしては期待せず、専らハードアクションとして見れば、なかなか楽しめるのではなかろうか。実際、手強かった敵との激闘の情景が、筆者にとって何よりの思い出だ。といっても、元よりそのジャンルにある本格派を差し置いて、本作をプレイすべきかは怪しいが……。

ペルソナ5(PS4)

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1.概要

 今やすっかり[アトラス]の看板となった、[ペルソナ]シリーズ。本作は2018年現在、ナンバリングタイトルにおいて最新作に位置する。一昨年発売の本作だが、今年は取り沙汰されることが多かった。TVアニメ化、他社ソーシャルゲームとのコラボレーション、[P5D]や[PQ2]といった関連作品の発売など。直接プレイせずとも、その名を耳にしただろう。

 [ペルソナ]と言えば、ジュブナイル。本作も例に漏れず、ティーンエイジャー達による冒険活劇が繰り広げられる。そのうえ本作は、"心の怪盗団"となった主人公達が、様々な欲深い権力者の精神に内から触れていくピカレスク・ロマンでもある。

  その人気は国内に留まらず、海外では[The Game Awards 2017]にて[Best Role Playing Game]を受賞した。世界から注目を浴びる本作について、それでは、筆者の感想を述べよう。

  なお、本作はどうもストーリーに重きを置いているらしく、以下の画像に示される「お願い」が公式サイドからなされた。よって、本稿でもそれに留意した表現を心掛ける。

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とのこと。

 

2.良い感想(ストーリー以外について)

 目に映るグラフィック、先ずそこに感動があった。街やキャラクターを造る3Dモデルのことではない。とかく目を引くのが、テキストウインドウやメニュー画面、画面表示情報などのデザインだ。黒赤白を基調とする色使いに、崩された文字。メニューを進めると、背景の主人公も連動して躍動する。月並みな表現だが、お洒落だ。

  BGMの出来も素晴らしい。On Vocalが多く、[ペルソナ]と言えばBGM、と言わんばかりの製作陣の意気込みを感じる。特に、予告状を送り付けた際のBGM[Life Will Change]は、洋楽ロックとしての鑑賞に堪えるほど。

  勿論、従来の[ペルソナ]らしさは損なわれていない。歯応えのある難易度に、いつもの悪魔達。「3」からの要素「コミュニティ」も、「コープ」と名を変え健在だ。無暗に異性と恋愛関係を築いていたら、修羅場が訪れてしまった。お約束に、筆者は微笑んだ。

 主人公を囲む仲間達も魅力的だ。高校生らしく活気に溢れ、声優の名演も光る。「モルガナ」は物語序盤から登場し、生活のパートナーを務め、怪盗団のメンバーでもあり、戦闘のナビゲートもこなす。つまり、セリフ量が尋常でない。彼の声を当てた[大谷育江]さんは、プロの鑑だと思う。

  また、これは評価すべき点か怪しいが、本作は非常にボリュームがある。高難易度も相まって、進めても進めても底が見えない。50時間程プレイした後に、疑問に思った。これ、いつ終わるの? 筆者がその答えを知ったのは、更に80時間プレイした後だった……。

 

3.悪い感想(ストーリーについて)

  では次に、このゲームの肝たるストーリーに関して述べよう。有り体に言ってしまえば、要所が雑で宜しくない。「カロリーヌ&ジュスティーヌ」に従い詳細は伏せる為、抽象的になってしまうが。

 主人公達は熱心に怪盗団活動に取り組むが、どうもその動機や目的が上手く説明されない。ブレていること自体はストーリーの範疇であっても、納得できる描写が欲しい。途中、とある敵役が主人公達の行いをエゴだと指摘する。なかなか正論なのだが、それも有耶無耶にされる。そんな調子なので、物語序盤に私怨で相対する第一の敵役が、素直に憎らしくて一番面白いと巷でよく語られる。

  また、先に述べたように本作はボリューミーなのだが、序盤のややもすればしつこくなりがちな進行に対して、終盤は打って変わって、速足で行き当たりばったりなきらいがある。物語のバトンを上手く繋げていない。最後の仲間などは大した描写もないままかなり後半に加入する為、どうにも印象が薄い。ライバルの唐突な自分語りに、興醒めしたとの意見もちらほら耳にする。突貫工事の匂いを感じざるを得ない。

 例の取調室トリックについても、散々勿体を付けた割には中身が伴っていなく、素直に感嘆出来なかった。

 

4.まとめ

  [wikipedia]によれば、本作は二度の発売延期を伴い、少々難産であったらしい。なるほど、その傷跡は感じ取られる。

 といっても、ストーリー以外の要素は何もかもが高水準だし、ストーリーについても矛盾や説明放棄があった訳ではない。[Best Role Playing Game]を獲ったその実力は、紛れもなくホンモノだ。

 興味のある方は是非、"心の怪盗団"に参加してみてはいかがか。100時間以上は、「盗まれる」覚悟をしておいた方がよいぞ。

 ところで、本稿は女性キャラクター達をきちんと紹介したか?このままでは、「魅力」が不十分だ。批判を述べる「度胸」や、「器用さ」を養う為にも、今から色々書き直し……f:id:naganopompom:20181123222613j:plain

龍が如く0 誓いの場所(PS4)

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1.概要及び背景

  筆者がちょうど高校生と大学生の境目にいた頃だろうか。[セガ]から聞いたことのないゲームが大々的に売り出された。それは、ファンタジーをメインに扱うことの多い日本製ゲームの中で異彩を放っており、たまたま手にした筆者は、その暴力的な世界観にすっかり魅了された。それが、本作の原点に当たる、初代[龍が如く]だ。

 [龍が如く]は順当に世間から評価され、その後様々なナンバリングタイトル、及び派生作品を生み出した。筆者は初代をプレイした後、それらについて触れる機会を逃したが、あのヤクザな世界観を再び経験したい想いを胸に秘めていた。

 あれから12年、筆者は思い立った。だが、どれに手を付ければよいかわからない。続編である「2」か?「極1」で初代を振り返るか?歴史好きとして「見参!」や「維新!」もよい。

 そんな中、目にしたのが「0」だ。曰くこれは、長続きして方向性のぶれたシリーズを、再び暴力的に立ち返らせる作品性があるとか。バブル時代を舞台にし、金をテーマに汚い世界を描きつつも、一方で、今や如く名物となったハイクオリティなミニゲームに溢れているとか。主人公の名は「桐生一馬」及び、「真島吾郎」。なるほど、聞き覚えのある。 そして、筆者は「0」を手にした。

 

2.感想

 感想を述べる上で、一つ、考慮すべき点がある。本作は、果たしてアクションアドベンチャーで収まる内容か。グラフィック、ストーリー、3Dアクション、ミニゲーム。そのどれもにとても力が込められている。とかくバラエティに富むことは、本シリーズを経験した方はご理解頂けるだろう。そこで本稿は、個々の要素に対し意見を述べることを感想としたい。

 

(Ⅰ)グラフィック

 非常にハイクオリティで、本物と見紛うほどの景観やゲームキャラクターが在る。というか、特定のそれはもはや創造物ではなくリアルのなぞりだ([竹内力]扮する「阿波野」等)。演出も凝っており、ゲームとは思えない見栄えの活劇に筆者はとても興奮した。だが、暴力的な内容と相まって生々しく表現されるきらいがあり、僅かだが嫌悪感を抱くケースもあった。

 

(Ⅱ)ストーリー

 Vシネマのヤクザ物に比肩する。任侠、暴力、権力争いと抗争の世界がたっぷり詰め込まれている。とにかく演出が凝っており、なにげない会話や食事にも面白い仕草や言い回しが含まれていて、見て飽きない。だが、探索型アドベンチャーゲームの宿命か、俗に言う「おつかい」で度々間延びされた。

 キャラクターも直情的な者が多く、ヒーロー、ヒール共々見ていて心地良い。しかし一点、「桐生一馬」サイドの行動に疑問を抱くことがままあった。彼らは度々、ヤクザに脅されてもはねつけたが、それは勇気ではなく無謀に見えた。筆者がヤクザ物への理解に乏しいのかもしれない。

 

(Ⅲ)3Dアクション(戦闘)

 ここで初めて酷評させて頂く。どうも面白くない。

 かの[BIOHAZARD]や[DARK SOULS]は、アイテムを絶妙に配置することで見事な緊張感を演出した。だが、本作はプレイヤーの意思で簡単にアイテムの補充ができる為、調整に難儀した。

 また、極の発動やオブジェクトを掴む際の反応が非常に悪く、常に戸惑わされた。4種の操作スタイルを任意に使い分けられたが、強化を施し使い慣れた特定の1種に頼りがちな、バランスの悪さがあった。

 

(Ⅳ)ミニゲーム

 とにかく多種多様に存在する。作りこみの度合いは一様でなく、シンプルなものからクリアに十時間以上を要するものまであるが、クオリティは概ね高い。ミニ四駆やキャバクラ経営などは、正直戦闘よりもやりがいを感じる。このミニゲーム集こそが、[龍が如く0]のメインコンテンツであると捉える人がいてもおかしくない。

 

3.まとめ

 12年ぶりの[龍が如く]は、筆者に、他のゲームでは味わえない奇妙な満足感を与えた。非常にリアルな映像に暴力的なストーリー、謎に作りこまれたミニゲーム。混沌としたそのさまは、筆者をまた次の如く作品へ誘う魅力に溢れていた。これで、アクションさえ面白ければ……。最後に、筆者一番のお気に入りキャラ、「佐川」の名台詞に本稿を締めていただく。

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CHAOS;CHILD(PS4)

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1.概要及び背景

 本作は、[5pb.]による科学アドベンチャーシリーズの第4作目だ。[STEINS;GATE]が非常に高い評価を受け大ヒットしたことは、読者の皆様も知るところであると思うが、本作はそれの次々作にあたる。[Amazon]の★数などからも窺い知れるが、本作もまた、巷では[STEINS;GATE]に負けず劣らずの高評価を得た。

 ところで、筆者は[STEINS;GATE]が好きだ。詳細は割愛するが、あのゲームは私にとても大きな感動をもたらしてくれた。「この作品は、シュタインズゲートを超えたのか?」。これは、公式が用いた本作のキャッチコピーだ。だが本作は、科学アドベンチャーシリーズの中で最も猟奇的であるとも言われる。

 ここまで揃えば、アトラクティブな要素は十分ではなかろうか。

 

2.悪い感想(主にプロローグ~中盤)

 本作がサウンドノベルのミステリーである以上、誰が死ぬといった具体的な話題は伏せる。

 プロローグからしばらくは、プレイヤーを引き込もうとする所謂「つかみ」の意思を感じさせるような印象深い展開が続いた。だが、数時間もプレイし本作の世界観が十分に説明され終えた後は、ひどく話が停滞したように感じた。キャラクターが何か行動を起こしても、結果的に話にあまり進展がなく見えた。話の本筋と関係のない所謂日常パートも、中盤に多く刺しこまれた。つまり、中弛みした。この手のサウンドノベルではよくあることだが、本作とて例外ではなかった。

 キャラクターについても難しい。主人公やヒロインを始め、非常に個性的で魅力的な者達が揃ってはいるが、それは同時にファンタジー色が強く、発想に共感し難い特徴も有した。進まない話に理解しづらい行動が重なり、ひどくモチベーションが削がれることもあった。BGMや一枚絵のバリエーションも、不足しているように感じた。

 

3.良い感想(主に終盤)

 筆者は、このゲームの価値を終盤のストーリー展開にあると考える。中弛みした中盤から徐々に、どうせ○○でしょ?といった予想を良い意味で裏切り始める。その度合いはエンディングに近づくにつれ増し、最後には良いオチがつく。ドラマチックな展開は、ファンタジックなキャラクターともよくマッチして、こちらでは好ましい印象を生む。蛇足的な日常パートも姿を消し、伏線もなかなかきっちりと回収される。

 もし、私が中盤で本作を終えていたら、正直30点を付ける。そして、中盤の失速に目を瞑れと言われれば、85点を付ける。それほどまでに、終盤は魅力的だった。BGMや一枚絵の乏しさが解決されないことが惜しい。

 

4.まとめ

 「この作品は、シュタインズゲートを超えたのか?」。ただのキャッチコピーではあるが、答えよう。残念ながら、Noだ。しかし、それは[STEINS;GATE]がただ高い壁であるだけで、なにもこのゲームをお粗末だと罵るつもりはない。詳細は伏せるが、このゲームのアプローチは明らかに[STEINS;GATE]のそれと異なる。自社の強力な商品に挑戦するかのように、あれやこれやと工夫を凝らしたこの[CHAOS;CHILD]を、私は評価したい。皆様も是非、お手に取ってみてはいかがか。特に、[STEINS;GATE]が好きであれば……。

(余談だが、このゲームは2015年発売にしてはやや値段が高い。筆者は今週末にクリアしたい都合もあり、DL版¥7560を支払わされてしまった……。)

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グラフィックは[STEINS;GATE]以上にアニメ調だ