酒も煙草も女もいいからゲームをやらせろ

配信でプレイしたゲームの感想をつらつらと述べたい。

グランブルーファンタジー(Mobage)

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1.概要及び背景

 今日のゲーム業界におけるソーシャルゲーム<以下、ソシャゲと称する>は、もはや新興分野にあらず、すっかり一種のジャンルとして定着したかに思える。ソシャゲの歴史について筆者は特段明るくないが、思えば2012年頃には既に、[横浜ベイスターズ]は[DeNA]に譲渡され、周囲の人間がこぞって[パズル&ドラゴンズ]をプレイする社会があった。それから6年を経た現在も、勢いが衰える様子は見られない。

 と言っても、その歩みは山あり谷ありだ。ソシャゲの発展は同時に、コンプガチャや子供の高額課金、景品表示法の有利誤認といった数々の社会問題も引き起こした。

 さて、今回本稿で取り扱うのは、そんなソシャゲの中で一勢力を築く[グランブルーファンタジー]だ。「スマホRPGは今これをやってるよ。」のtweetでいやが上にも目立つ本作は、2016年に有利誤認と思しき「アンチラ問題」を引き起こした。にも関わらず、今年で継続4周年を迎え、大々的にTVCMが流される程の人気作に成長している。

 筆者はソシャゲの経験に乏しいが、本作に関しては、現在延べ一年半に及んでプレイ中であり、なかなかに事情通だ。それ故、本作ならではの個性的な特徴をいくつか把握している。そこで今回は、それらを紹介したく筆を執った次第だ。是非、本作の奇妙で奇怪な仕様に戦慄して頂きたい。

 

2.感想

  本作はソシャゲに区分される筈だが、どうも一般的なそれと比べて常識外れな仕様がいくつかある。それらをポイントでまとめて述べることを感想としたい。

 

(Ⅰ)スタミナ回復アイテムにより永久プレイ可能

  ソシャゲの特徴といえば、やはりスタミナ。スタミナとは体力……ではなく、言わば行動可能回数のようなものだ。ソシャゲではダンジョンに潜る、ボスに挑戦するといった行動は、原則全てスタミナの消費を伴う。スタミナは現実時間の数分毎に少しづつ蓄えられ、プレイヤーはその貯蓄内にて取るべき行動を取捨選択する。

 本作にも勿論スタミナの概念は存在する。5分毎に1ずつ蓄えられる仕様だ。

 ところで、本作にはエリクシールハーフ、通称「半汁」と呼ばれるアイテムが存在する。これは所謂スタミナ回復アイテムであり、一つにつき約50程のスタミナに変換される。本作はなんと、これを様々な場所で簡単に取得でき、スタミナの自然貯蓄など考慮に値しないバランスとなっている。

 「運営からのプレゼントです。」と称して、突如数百個配布されることはざらだ。毎日ゲーム内ショップで最低5以上は補充可能で、イベントでは安価で交換先に並べられ消費したスタミナのペイに貢献する。

 極めつけはサブアカウントとのマルチプレイだ。詳細は割愛するが、サブアカウントに配布される「半汁」をメインアカウントに間接的に送ることも出来る(1時間で約40個ほど)。規約では、個人による複数アカウントの管理は禁止されているものの、家族ですと主張すれば運営にその真偽を確かめる術はない。

 これらを駆使すれば、本作はスタミナ制でありながら永久プレイが可能だ。スタミナは時間をかけて稼ぐもの。それが[グラブル]スタイル。

 

(Ⅱ)最強の無課金キャラが多くの課金キャラの居場所を奪う

  ソシャゲと言えばガチャだ。本作も例に漏れず、プレイアブルキャラクターは主にガチャで取得する。

 筆者にはソシャゲ運営における収益の仕組みなどわからないが、それでもガチャがかなりのウェイトを占めることは見て取れる。運営は定期的に射幸心を煽るキャラクターを実装し、プレイヤーをガチャへと導く。それ故往々にして、ガチャの目玉がゲームの中心になりがちだ。

 では、本作ではどうか。編成の中心となるのは、強力なガチャキャラクター……ではない。無課金で取得できる「十天衆」達だ。

 「十天衆」はその名の通り十人存在しており、本作にはこれらより強力なキャラクターなどほぼ居ない。強いと評されるガチャキャラクターも、専ら「十天衆」の補佐を努めるケースが多い。では、本作におけるガチャは意味をなさないのか。答えはNoだ。何故なら、この「十天衆」の獲得こそが、本作の大きな目標と化しているからだ。

 「十天衆」の獲得には大変手間がかかる。戦力をそれなりのレベルにまで整え、ギルド戦<後述する>に勝ち抜き、素材集めに奔走する。筆者が本作を一年半プレイ中であることは先に述べたが、それでも取得率は(7/10)だ。多くのガチャキャラクター達は、それまでの"つなぎ"としてその役割を果たす。いざ「十天衆」が加入してしまうと、彼らの居場所は……。

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「十天衆」の面々。実はこの中にも格差がある。

 

(Ⅲ)一週間いかにゲームに張り付いたかを競うギルド戦

  先にも少し触れたが、本作におけるギルド戦は最強キャラクター群「十天衆」の獲得条件にもなっており、かなり重要だ。ではこのギルド戦、「決戦! 星の古戦場」について述べよう。

 プレイヤーは予告されたイベント期間(一週間程)に、大して強くもないボスとひたすら連戦する。勝つ毎に「貢献度」なるポイントがギルドに加算され、ギルドメンバー全員分におけるその合計値の多寡を、対戦相手と競い合う。期間中、相手は日毎に更新され、勝てば「勲章」なるポイントが授与される。これが賞品の引き換えとなっており、「十天衆」の獲得素材となる。

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 ここで着目してほしいのは、要はボスの討伐数がそのまま勝敗に直結する点だ。強力な編成はボスの討伐時間こそ短縮すれど、直接勝利条件とはならない。期間中にどれだけ[グラブル]に時間を割けたか。これが何より重要となる。

 勿論、ギルドメンバー全員が「古戦場」に真摯に向き合うことも条件だ。文字通り「貢献度」の低いメンバーは、寄生と見なされ糾弾されることもある。だが、そのやり取りはコミュニティの不和を招きかねない。

  恐ろしいのは、本作の人気だ。皆「勲章」を諦める訳にはいかず、それなりのレベル帯にもなれば、えげつない数値を突きつけてくる。古戦場は朝7時から開始される為、ギルドの本気度によっては、平日の朝に[グラブル]を強要されることもある。正気の沙汰ではない。この「古戦場」絡みが、多くの[グラブル]引退者にとってその原因に該当したと、筆者は睨んでいる。

 最近申し訳程度に、報酬はそのままに、実質期間が一日短縮された。が、もっと抜本的な改善を、筆者は強く望む。

 

3.まとめ

 さて、本作の一風変わった点を3つ紹介したが、お気づきだろうか。そう、本作はソシャゲでありながら求められるのは課金ではなく、時間であると。割愛したが、本作はRPGらしくレベリングや武器収集といった要素もたっぷりと詰め込まれており、そこでも、とにかくやり込みが必要となる。

 筆者が本作のゲーム性を理解した際に、真っ先に思い浮かんだゲームがあった。それは、[魔界戦記ディスガイア]シリーズだ。

 時間は有限である。目標とするのは最強の編成であり、そこに効率的に近づくにはどう時間を割くべきか。そのやりくりにこそ、この[グランブルーファンタジー]の面白さがあると、筆者は認識している。

 ソシャゲの拝金主義に嫌気が差した方、一つこの"ソシャゲ風RPG"[グラブル]をやり込んで、課金勢をあっと言わせてみてはどうか。

(と言っても、時間を費やしている事が前提となってくると、やはり課金額が物を言い出すのだが……。)